レンタルサーバーの性能やパフォーマンスは、公式サイトなどの情報から推測することが可能ですが、サーバーの実際のパフォーマンスは使用してみないとわかりません。
また、サーバーも単に使ってみるだけでは、体感的に速いとか、重いという印象を受けるだけで、現実的にどこのサーバーがよりよいのかはわかりにくいものです。
でも、サーバーのパフォーマンスを改善・向上させるために開発された様々なベンチマークテストや負荷テストを利用することで、サーバーの実際のパフォーマンスを目に見える形で比較することができます。
今回はそのベンチマークテストの一つである PHP Benchmark というスクリプトを利用して、PHP 処理のパフォーマンスを確認してみました。
なお、2016年11月の heteml のサーバー環境が一新に伴い、heteml では新環境でテストを実施しています。その結果については「heteml(ヘテムル)が復活!新サーバー環境と「モジュール版PHP」を徹底検証」を参照してください。
・PHPのパフォーマンスをベンチマークテストで比較【2017年版】(PHP Benchmark/PHPspeed)
PHP Benchmark とは?
PHP Benchmark は、FREE Web Hosting が配布しているスクリプトで、サーバー上で PHP で特定の処理を実行させ、その実行速度を計算することで、そのサーバーの性能を確認できるものです。
PHP Benchmark では、PHP を用いた単純な計算と文字列を用いた処理を行うだけのようですので、データベースなどが絡まない PHP 自体の処理能力を確認するものと言えます。
このスクリプトの 1回の実行で、上記の処理を全部で12回、5秒のインターバルを開けつつ実行し、各処理における以下の結果を出力します。
・最小値
・最大値
・12回の平均値
・最大値と最小値を除いた中間値にあたる 10回の平均値
この中間値の平均値を出すのは統計学などでもよく用いられる方法で、こういった検証では一時的に極端な数値が出ることもあるため、あえてそういった極端に外れた値(異常値)を除外することで、より本来の実力に近い値を出すことができる、という考え方に基づいています。
さらに安定度を見るため、結果をまとめた表には以下の数値も追加してみました。
・最大値と最小値の差
PHP Benchmark の実施結果
実際の計測では平日に時間帯を変えて、この PHP Benchmark を全部で 7回実行しました。
より実際のばらつきなどもチェックするため、まんべんなく情報を取得できるよう、時間帯も一般的な活動時間帯の中から 9時・12時・15時・17時・19時・21時・23時台となるべく広い時間帯になるよう実施しています。
その全データを集計した結果が、以下の表です。(単位はすべてms(ミリ秒))
最小値 | 最大値 | 12回の平均値 | 中間値の平均値 | 最大値と最小値の差 | 総合順位 | |
エックスサーバー | 13 | 16 | 13 | 13 | 3 | 1 |
WADAX | 14 | 20 | 15.9 | 15.7 | 6 | 2 |
カゴヤ | 9 | 23 | 14.4 | 14.4 | 14 | 3 |
ABLENET | 20 | 26 | 20.1 | 20.0 | 6 | 4 |
クローバー | 17 | 40 | 19.9 | 19.3 | 23 | 5 |
さくらインターネット | 15 | 41 | 19.1 | 18.4 | 26 | 6 |
heteml | 21 | 39 | 22.0 | 21.3 | 18 | 7 |
ロリポップ | 16 | 40 | 20.4 | 20.0 | 24 | 7 |
SpeeVer | 22 | 38 | 25.6 | 25.4 | 16 | 7 |
WebARENA | 19 | 58 | 28.6 | 28.4 | 39 | 10 |
iClusta+ | 39 | 88 | 43.7 | 42.7 | 49 | 11 |
Bizメール | 25 | 180 | 49.9 | 46.6 | 155 | 12 |
お名前.com | 36 | 266 | 54.3 | 51.7 | 230 | 13 |
結果の数値としては、数値が小さいほうがよりパフォーマンスが高いことを示しています。
また、各項目の数値からは以下のようにパフォーマンスの状態を読み取ることができます。
・最小値が低いものはよりパフォーマンスが高い
・最大値が大きいものはパフォーマンスが低い
・平均値が低いほうがよりパフォーマンスが高い
・最大値と最小値の差が小さいほうがより安定している
最小値が低めなのは、エックスサーバー・カゴヤ・WADAX・さくらインターネットあたりで、パフォーマンスが高めと言えます。
最小値の「9」が出ているのはカゴヤですが、全体でみるとかなり低めではあるものの、最大値とのブレが「14」あります。
逆に最大値が高いのはお名前.com で、「266」とかなり高い数値が出てしまっています。200台の数値が出ているのは、お名前.com でもこの1回だけなのですが、100台も1回出ています。他のベンチマークの結果でも出ているのですが、お名前.com に関しては、全体的にかなり不安定なことは確かです。
最大値が「100」を超えているのは、もう一つ Bizメール&ウェブエコノミーですね。こちらも、他のベンチマークの結果でも全体的に低めで、ベンチマーク実行時に「重い」と感じることが多かったです。
中間値の平均値とブレ幅から出した順位をもとに出した総合の順位が、一番右の順位です。処理が高速、かつ安定しているものが上からの順位になっています。
総合で 1位はエックスサーバーです。最小値もカゴヤについで 2番目にいい数値が出ていますし、ブレ幅も「3」しかなく、非常に安定しているという結果が見てとれます。
WADAX・カゴヤもなかなかいい成績です。特にカゴヤは他のベンチマークでもよい結果が出ています。WADAX もパフォーマンスに関しては、全体的に強い傾向がありますので、この結果にはうなずけます。
PHP Benchmark のまとめ
以上、PHP Benchmark の結果でした。
上に書いたように、上位に入っているエックスサーバー・カゴヤについては、他のベンチマークでも非常によい結果が出ています。(詳しくは同じカテゴリの他の記事をご参照ください)
特にエックスサーバーは、安定性・速度ともに高い結果が出るので、やはり最もおすすめできるレンタルサーバーです。
カゴヤは今回のようにエックスサーバーよりもよいパフォーマンスを出しますが、エックスサーバーに比べると少しブレがみられますね。それでも他のレンタルサーバーと比べるとごく小さなブレなので、カゴヤもやはりおすすめのレンタルサーバーです。