当サイトで紹介している各レンタルサーバーの実際のパフォーマンスをチェックするために、各種のベンチマークテストを実行しています。
前回は PHP Benchmark というスクリプトを利用して、PHP のベンチマークテストを行いました。
今回は、PHPspeed という別のスクリプトを利用して、PHP や MySQL などを含めたサーバーのパフォーマンスを確認してみました。
・データベースのパフォーマンスをベンチマークテストで比較【2017年版】(PHPspeed)
PHPspeed とは?
前回の PHP Benchmark は PHP だけのパフォーマンスを測定するスクリプトでしたが、今回の PHPspeed は PHP のみではなく、PHP を利用して MySQL を含めたパフォーマンスをチェックしたり、データの読み書きテストなどを含めた、全部で 6つのテストを実施できます。
各テストの名称と概要は以下の通りです。
Synthetic PHP BenchMark
PHP 総合ベンチマーク
PHP の様々な機能をテスト。実環境のサイトパフォーマンスをチェックするものではない。
Synthetic MySQL Test
MySQL 総合テスト
MySQL がデータベースに読み書きする速さを測定するテスト。実環境のサイトパフォーマンスをチェックするものではない。
Read/Write to File Test
ファイルの読み書きテスト
サーバーがハードドライブからファイルを読みだしたり、ファイルを書き込んだりする速さを測定するテスト。CPU やメモリの量によっても影響を受ける。
Real World PHP Test
PHP の実環境テスト
MySQLを用いた PHP の実環境テスト
4つの様々なサイズの PHP ページを読み込む時間を計測する。このベンチマークではデータベースからは何も読み込まず、サーバー上にある PHP のページを読み込む実環境の時間を測定する。
Real World PHP w/ MySQL Test
MySQL へのアクセスを含めた 4つの様々なサイズの PHP ページを読み込む時間を計測するテスト。Web上に存在するようなダイナミックな Webページをシミュレートした実環境テスト。
Server Benchmark
サーバーベンチマーク
サーバーの処理速度を全体的に測定するテスト。MySQL+PHP 総合テスト、MySQL を用いない PHP ページ読み込みテストと PHP のファイル読み込み/書き込みテストが含まれる。
PHPspeed の実施結果は?
今回は、この PHPspeed を PHP benchmark と同様、平日に時間帯を変えて、全部で7回実行しました。
時間帯についても、時間ごとのブレを見るために、PHP benchmark と同じ 9時・12時・15時・17時・19時・21時・23時台に実施しています。
その全データの平均値を集計した結果が、以下の表です。
なお、残念ながら、このスクリプトが古い影響か、使用されている一部の関数が PHP の新しいバージョンに対応していませんでした。
そのため、お名前.com は実施ができませんでした。また、WADAX に関しても、「Read/Write to File Test」だけが動作しませんでしたので、その部分だけ抜いてあります。
Synthetic PHP BenchMark | Synthetic MySQL Test | Read/Write to File Test | Real World PHP Test | Real World PHP w/ MySQL Test | Server Benchmark | 順位 | |
WADAX | 11,277 | 35,505 | 15,766 | 7,623 | 6,765 | 1 | |
エックスサーバー | 14,373 | 6,008 | 5,333 | 13,595 | 7,937 | 6,010 | 2 |
カゴヤ | 19,148 | 1,565 | 7,215 | 21,658 | 10,801 | 4,686 | 3 |
ロリポップ | 10,742 | 4,743 | 5,160 | 13,572 | 7,543 | 5,276 | 4 |
WebARENA | 7,446 | 19,135 | 3,612 | 8,800 | 5,180 | 4,430 | 5 |
heteml | 8,642 | 3,589 | 3,452 | 11,352 | 6,554 | 4,280 | 6 |
クローバー | 9,961 | 2,001 | 3,767 | 9,568 | 5,017 | 3,588 | 7 |
ABLENET | 9,823 | 2,834 | 3,497 | 7,781 | 5,485 | 4,034 | 8 |
さくら プレミアム | 10,091 | 1,425 | 3,554 | 5,686 | 3,961 | 1,916 | 9 |
SpeeVer | 6,463 | 2,260 | 2,036 | 6,706 | 3,909 | 2,220 | 10 |
Bizメール | 3,800 | 1,220 | 1,566 | 4,466 | 2,433 | 1,556 | 11 |
iClusta+ | 4,715 | 923 | 1,349 | 2,079 | 729 | 965 | 12 |
結果の数値は、数が大きいほうがよりパフォーマンスが高いです。
こちらのベンチマークでも、各項目で最も高いパフォーマンスを出しているのは、カゴヤとWADAXで、この二社ですべてのテストの 1位を独占しています。
カゴヤは「Synthetic PHP BenchMark」「Read/Write to File Test」「Real World PHP w/ MySQL Test」で最高値、WADAXは「Synthetic MySQL Test」と「Real World PHP Test」「Server Benchmark」の 3つが最高値です。
上に書いた通り、WADAX は「Read/Write to File Test」を実施できていないので、実施できていたらまた少し違った結果だったかもしれません。
以上のように、各社のパフォーマンスの差は結構大きくあります。
ただ、便宜上各項目ごとにパフォーマンスで順番をつけ、さらにその順位から総合の順位を出してみました。
各項目のパフォーマンス状況から、カゴヤと WADAX が当然 1位と2位を独占すると思われたのですが、1位 WADAX、2位はカゴヤではなく、エックスサーバーになりました。
カゴヤはパフォーマンスがいい項目はとてもいいのですが、「Synthetic MySQL Test」と「Server Benchmark」でばらつきがみられたため、総合評価ではエックスサーバーが上、という結果になったわけです。
エックスサーバーの安定感の高さが、ここでもカゴヤを抑えて 2位に食い込むことにつながったと言えるでしょう。
PHPspeed のまとめ
以上、PHPspeed によるベンチマークの結果でした。
前回の PHP Benchmark に引き続き、エックスサーバー・カゴヤ・WADAX の 3社が上位 3位までを占める結果となりました。
特にエックスサーバーについては、いずれの項目もトップを他の 2社に譲ったものの、総合力では 2位に食い込むという検討を見せるという、なかなか興味深い展開になりました。
個別のパフォーマンスは重要ですが、やはり安定感が重要だとあらためて感じました。そういう意味で、パフォーマンスと安定感のバランスが取れたエックスサーバーはおすすめですね。