Webサーバーのパフォーマンスをベンチマークテストで比較【2017年版】(ApacheBench/PHPspeed)

Webサーバーのパフォーマンスをベンチマークテストで比較【2017年版】(ApacheBench/PHPspeed)

レンタルサーバーを借りる目的の多くは Webサイトの公開だと思いますが、Webサイトを公開するにはレンタルサーバーの Webサーバーを利用することになります。そして、その Webサーバーのパフォーマンスは、サイトの表示速度などに大きな影響を与えるため、ネットビジネスを行う上では非常に重要です。

しかし、CPU やメモリなど公式サイトのサーバー関連の仕様や、使用した人の口コミを見ても、そのサーバーの能力を正しく判断することはできません。(共用サーバーの場合、CPUなどのスペックを公開していないところも多いです)

そこで、ベンチマークツールが活躍します。ベンチマークツールを使用してテストを行うことで、より具体的、かつ目に見える形でサーバーの性能を比較できるようになります。

今回は、各レンタルサーバーにおける Webサーバーのパフォーマンスをベンチマークツールでチェックし、その性能を比較してみたいと思います。

ApacheBench で Webサーバーのパフォーマンスを比較【2016年版】
レンタルサーバーのベンチマーク総合評価ランキング【2017年版】

Webサーバーのパフォーマンスを 2つのツールでチェック

今回、Webサーバーのパフォーマンスをチェックするにあたり、以下の 2つのツールを利用しました。

  • ApacheBench
  • PHPspeed

ApacheBench は、Webサーバーのソフトとして広く利用されている Apache に組み込まれている Webサーバーの性能を測定するための負荷テストツールです。

負荷テストとは、意図的にサーバーに負荷をかけることで、高負荷状態になったときに、どのようなパフォーマンスを示すのかを確認するための動作確認テストのことです。実際にアクセスが集中した時にもサーバーが落ちたりしないように、調整を行う目的で用いられます。

ApacheBench は単一の URL に対するリクエストを生成し、Webサーバーの様々なパフォーマンスを計測します。静的な HTML サイトだけでなく、動的に生成される WordPress サイトなどでも適用できますが、サーバーのシステム全体の性能の計測を行えるわけではありません。

今回は事前に用意した、単ページの HTML サイトと WordPressのサイトに対して ApacheBench を実行して、両方のパフォーマンスをチェックします。

また、PHPspeed は、PHP を利用して MySQL を含めたパフォーマンスをチェックしたり、データの読み書きテストなどを含めた、全部で 6つのテストを実施できるツールです。

この 6つのテストのうち、サーバーのパフォーマンスをトータルにチェックする、以下のテストデータを比較します。

  • Server Benchmark(サーバーベンチマーク / PHP・DBを含むサーバーの処理速度を総合的に測定するテスト)

以上 3つのテスト結果を比較してみました。

ベンチマークの実施概要

まず、できるだけ同じ条件でサーバーの実力をチェックするため、PHP のバージョンは PHP5.6 に統一して実施しています。(WebARENA のみ、まだ PHP5.6 が利用できないため、PHP5.3)

実施時間に関しては、平日に時間帯を変え、2~3時間おきに全部で 8回実行しました。

レンタルサーバーは昼間と夜間帯では負荷が異なることが多く、実際のばらつきなどもチェックするために、朝の9時~夜の2時にかけて、となるべく広い時間帯になるよう実施しています。

また、ApacheBench の測定に利用した Webサイトの概要は以下の通りで、すべてのサイトで統一しています。

・文字数:約3,000
・本文中画像:1枚
・WordPress テーマ:Twenty Seventeen(最新)
・プラグイン:デフォルトの3つ「Akismet / WP Multibyte Patch / Hello Dolly」

ApacheBench は、単一のファイルに対するリクエストを処理するため、同じページ内に含まれる画像などはテストの対象にはならないのですが、一応画像もまったく同じものを貼ってあります。

テストは、同時接続数 10、リクエスト 100で実行します。

これは Webサーバーに対して同時に 10人の人がアクセスし、それぞれ 10のリクエストを行うのと同じ状態を作り出し、その処理が終わるまでのパフォーマンスを計測するという意味で、サーバーに対してそれほど負担にはならないレベルです。

Webサーバーのパフォーマンス比較

では、テストの結果を見てみましょう。

ApacheBench(表中は「AB」と表記)では、測定値の中で最も重要なパフォーマンスの一つである、「1秒間に処理したリクエスト数(Requests per second)」を比較しています。この数値が大きいほうがよりパフォーマンスが高いことを示します。

また、PHPspeed についても同様で、数値が大きいほうがパフォーマンスは高いです。

各ツールは全く違うテストを行っており、結果の出し方も異なっているため、横並びで比較することはできません。そのため、まず各ツールの結果に対しての順位をそれぞれ出し、次にその順位をトータルでランク付けして、「総合順位」としました。

総合順位の順番に上から並べています。

HTTP(AB) 順位 PHP(AB) 順位 Server Benchmark(PHPspeed) 順位 総合順位
エックスサーバー 891 2 58 3 6065 3 1
heteml 237 7 247 2 5123 4 2
ロリポップ! 350 6 331 1 4254 9 3
sixcore 569 5 41 4 4390 8 4
WADAX 89 12 38 5 6731 2 5
クローバー 577 4 25 8 3584 10 6
CPI 219 9 25 7 4680 6 6
カゴヤ 207 10 38 6 4581 7 8
さくら 1,235 1 6 13 2302 12 9
WebARENA 133 11 17 10 4772 5 9
mixhost 22 15 10 11 7362 1 11
ABLENET 697 3 8 12 2150 13 12
お名前 29 14 25 9 2500 11 13
Bizメール 236 8 1 15 1481 14 14
iCLUSTA+ 60 13 6 14 575 15 15

まず、ApacheBench の結果を見てみましょう。昨年もそうでしたが、全体的な傾向として HTTP と PHP、つまり単なる HTMLサイトと WordPress サイトでは順位が大きく異なるサーバーが多いことが挙げられます。

特に、さくらインターネットは HTTP の数値はダントツで高いのですが、PHP となると下位層に落ちるくらい落差があります。「さくらインターネットはWordPress が重い」とよく言われていて、昨年も同様の状況でしたが、やはりまだここがネックのようです。ABLENET も同様の傾向があり、HTTP は3位ですが、PHP では 12位に落ちてしまいます。

WADAX の場合は逆で、HTTP は 12位ですが、PHP では 5位に上昇します。

一方、どちらもほぼ同じ数字が出るのが、GMOペパボの hetemlロリポップ!。ほとんどのサーバーは、差こそあれ、HTTP の数値が高く、PHP の数値が低くなるのですが、この 2つのサーバーだけはどちらもほぼ同じ結果が返されます。

また、昨年同様、お名前.comレンタルサーバーは、PHP で毎回処理の失敗(Failure)が発生しました。これは Webサーバー側の設定等で処理されなかったと思いますので、サーバーの不具合等ではないと思いますが、もし処理されていたら、結果の数値はもっと落ちたと思います(失敗した処理を実行する分、パフォーマンスが落ちると考えられるため)。

なお、最後に注目しておきたいのが、PHPspeed の Server Benchmark で 1位が出ていた mixhost

mixhost では、サーバーの性能から考えると ApacheBench の数値がかなり低かったので(特にエラーなどはなし)、サポートに確認したところ、ApacheBench 自体の処理は有効ですが、正しい数値は出ない可能性があるとのことでした。また、PHPspeed の Server Benchmark では非常に高いパフォーマンスを見せているので、実際の評価はもっと高くていいと思います。

Webサーバーのパフォーマンスをベンチマークテストで比較まとめ

以上、Webサーバーのパフォーマンスを 3つのベンチマークテストで比較した結果を見てみました。

結果としては、いずれのテストも安定して上位に位置していた、エックスサーバーがトータルで 1位になりました。また、hetemlロリポップ!のペパボチームも実力を発揮しています。

また、新進気鋭の mixhost に関しては、ApacheBench の結果が微妙でしたが、サーバー側の制限により正しい結果が出ていない可能性があります。mixhost は最新・高速の Webサーバーソフトである「LiteSpeed」を使用していますし、PHPspeed の Server bemchmark の結果から、本来はかなりのパフォーマンスを期待できると考えられます。

なお、実際にレンタルサーバーを利用する上では、Webサーバーのパフォーマンスだけではなく、PHP やデータベースのパフォーマンス、安定性などを含めた、トータルでのパフォーマンスを見てサーバーを選ぶことが大事です。

サーバートータルでのパフォーマンス結果は、以下に掲載していますので参照してみてください。

レンタルサーバーのベンチマーク総合評価ランキング【2017年版】

タイトルとURLをコピーしました