データで比較!レンタルサーバー最速選手権【2022】

データで比較!レンタルサーバー最速選手権【2022】

Web サイトの表示速度は、ユーザー体験や検索エンジンの評価に大きく影響するため、レンタルサーバー各社も速度向上に非常に力を入れており、独自の高速化機能を次々とリリースしています。

しかし、どの会社も「従来の●●倍!」と高速したことを謳っていますが、実際にその機能を利用したときに、どのサーバーが一番表示が速くなるのでしょうか。

当サイトで行っている定期計測では、できるだけ各レンタルサーバーそのものの力量を比較するために、「素」に近い状態(初期設定のまま)にしてデータを取り、以下のランキングにしています。

レンタルサーバー性能比較(安定性と表示速度の総合評価)

ここでは、例年に引き続き、各レンタルサーバーで利用可能な高速化機能を最大限に利用した場合に、WordPress でどれくらいの表示速度が出るのかを測定・比較してみました。

過去 3年間の測定結果は、以下の記事にまとめてありますので、あわせてご参照ください。

レンタルサーバー最速選手権!(高速化機能利用時の速度比較)

WordPress の表示速度調査実施概要

WordPress サイトの表示速度を調査するため、Site24x7 というサービスを利用しました。
(前年まで利用していた monitis がサービスを終了したため)

Site24x7 はサーバーをモニタリングするための数多くのサービスを提供していますが、ここでは Webページスピード(ブラウザー) という、ユーザーが実際にサイトの表示を行うのと同様の環境でサイトの読み込み完了までの時間をチェックできる機能を使用しています。

この機能で測定した、各サーバーにおける WordPress サイトの表示速度を比較します。

WordPress は、デザイン情報である「テーマ」、コンテンツ情報を含む「データベース」、画像などのデータを総合管理できるシステムですが、ユーザーからサイトを表示するリクエストがあるたびに、それらのデータを集め、サイトを構築し、データを送り返すという仕組みになっています。

そのため、サイトデータを送り返す Webサーバーだけではなく、WordPress を構成する言語である PHP やデータベースサーバーのパフォーマンスを含めた、レンタルサーバーの総合力が試されるシステムとも言えます。

そういう意味でも、WordPress の表示速度をチェックすることは、サーバーの真の実力を知ることにもつながる、と言っても過言ではないでしょう。

対象のサーバーと設定内容

今回比較しているのは、主に個人向けのサーバーの中でも人気があり、また新機能の導入にも積極的な高速化に力を入れている 6社のサーバーです。

サーバー名と利用した PHP のバージョンや高速化機能を以下の表にまとめました。
(※表中の各用語については、下に簡単に説明してあります)

サーバー名
(プラン名)
PHP ver.
(モード)
高速化機能
エックスサーバー
(スタンダード)
PHP 7.4
(FastCGI)
Xアクセラレータ V2
サーバーキャッシュ
ブラウザキャッシュ([CSS/JavaScript以外])

WordPress 実行環境「KUSANAGI」
ColorfulBox
(Box2)
PHP 7.4
(LSAPI)
LiteSpeed Cache
hetemlPHP 7.4
(モジュールモード)
コンテンツキャッシュ設定
(WPキャッシュ機能)
ConoHa WING
(ベーシック)
PHP 7.4
(LSAPI)
WEXAL
コンテンツキャッシュ(すべてのコンテンツ)
ブラウザキャッシュ
ロリポップ!
(ハイスピード)
PHP 7.4
(モジュールモード)
LiteSpeed Cache
mixhost
(ベーシック)
PHP 7.4
(LSAPI)
LiteSpeed Cache

各高速化機能の概要

  • キャッシュ:一時的にサーバーなどにコンテンツを記録しておくこと
  • FastCGI:PHP を従来の CGI モードのままモジュール版と同等の速さに高速化できる機能
  • Xアクセラレータ V2:「Webサイトの表示速度向上」+「同時アクセス数の大幅拡張」のエックスサーバー独自機能
  • LSAPI (LiteSpeed Server Application Programming Interface)):FastCGI に似た、Web サーバーとのやりとりを効率的に行える高速でスケーラブルなサーバーインターフェイス
  • モジュールモード:CGI モードより PHP を高速で処理できる機能
  • WordPress 実行環境「KUSANAGI」:WordPress 実行環境(WordPress の高速化チューニングが施された仮想マシンおよびそのイメージ)
  • WEXAL:WordPress の高速化エンジン。Web表示に関するリソースを最適化し、高速化が見込める
  • LiteSpeed Cache:Webサーバー「LiteSpeed」で利用できる WordPress 用のキャッシュプラグイン
  • コンテンツキャッシュ:サーバー側でコンテンツを一時的に記録(キャッシュ)して高速表示する機能
  • ブラウザキャッシュ:ユーザーのブラウザ側にコンテンツの一部をキャッシュさせて高速化表示する機能
  • ロリポップ!アクセラレータ:専用のキャッシュサーバーでコンテンツを一時的に記録(キャッシュ)しておき、高速表示するロリポップ!独自の機能

昨年と異なる点は赤字にしてありますが、いくつか新しい機能が導入されているサーバーがあります。

一つ目は、エックスサーバーの「KUSANAGI」ですが、これはプライムストラテジー社が提供する、世界最速クラスの WordPress 実行環境です。この環境はサーバー自体に適用されているもののため、個別にオン/オフの切り替えは行えません。

二つ目は、ConoHa WING の「WEXAL」で、こちらもプライムストラテジー社が提供する機能ですが、こちらは WordPress の高速化エンジンで、個別にオン/オフの切り替えが可能です。(初期設定ではオフになっています)

三つめは、ロリポップ!の「LiteSpeed Cache」です。これは、Web サーバー「LiteSpeed」専用のキャッシュプラグインで、これまでも mixhost や ColorfulBox では利用可能でした。ロリポップ!もハイスピードプラン以上では「LiteSpeed」を導入していますが、今回ようやくこのプラグインを利用できるようになりました。

なお、ロリポップ!には以前から「ロリポップ!アクセラレータ」という高速化機能があり、現在も利用可能ですが、「ロリポップ!アクセラレータ」と「LiteSpeed Cache」はどちらもキャッシュの機能のため、併用ができません。
そのため、両方の速度を確認した結果、より高速だった「LiteSpeed Cache」での結果を今回は採用しています。

測定条件の詳細

今回測定を行った環境や条件ですが、すべてのサーバーに全く同じ内容の WordPress サイトを構築しています。
以下が、その詳細条件です。

WordPress のバージョンver. 6.0
WordPress のテーマTwenty Twenty
WordPress プラグインWP Multibyte Patch / Akismet / Hello Dolly
コンテンツ内容WPテーマユニットテスト
(すべてのコンテンツをトップページに表示した状態)
測定ツールSite24x7
測定元サーバー(東京/大阪/長野)
測定期間7日間(2022年6月実施)
測定内容WordPress サイトの表示速度
(20分ごとに計測を実施)
測定状況の詳細日本国内のサーバーから Webサイトの表示を要求し、
サイトデータの取得完了までの時間を計測
測定用ブラウザは Google Chrome を使用
コンテンツ内の特定の文字列が取得できるかもチェック

プラグインに関しては、WordPress をインストールした際にデフォルトで導入されているもので、特に意味はありません。
また、テーマは例年最新のものを適用していたのですが、最新の2021年以降、既定のテーマがデフォルトでトップページに動画などのコンテンツを表示しない設定になってしまい、負荷が低すぎるため、2020年版の「Twenty Twenty」を使用しています。

ColorfulBox と mixhost、ロリポップ!の「LiteSpeed Cache」は、各社で提供しているものではありませんが、Web サーバーに「LiteSpeed」を利用しているサーバーでしか使えないことと、各社が公式に推奨していることから使用しました。

また、基本的に月額料金が 1,000~2,000円レベルのプランを検証の対象としています。

WordPressサイトの最速の表示速度比較

では、WordPress サイトの表示速度を比較してみましょう。

チェックする項目は「平均表示速度」で、それを元に順位付けしています。
また、同じ月にサーバーの初期設定の状態(デフォルト)で計測したデータと、その差分もあわせて掲載します。

サーバーの高速化機能を利用したWordPress最速比較

データで比較!レンタルサーバー最速選手権【2022】
総合順位サーバー名
(プラン名)
初期設定(秒)高速化後(秒)差分(秒)
1mixhost
(ベーシック)
4.223.12+1.10
2ロリポップ!
(ハイスピード)
4.693.13+1.56
3ColorfulBox
(Box2)
3.483.16+0.32
4エックスサーバー
(スタンダード)
4.253.17+1.08
5ConoHa WING
(ベーシック)
4.383.29+1.09
6heteml4.823.88+0.94

今回はすべてのサーバーで高速化後の成績が上回りました。いずれのサーバーも基本的に性能が高いところなので、僅差ですね。
特に上位 4社は、ほとんど誤差と言えるレベルです。比較的ばらつきが見られた、昨年の結果(下のグラフ)と見比べてみると一目瞭然です。

WordPressの速度比較一覧【2021】

例年上位の エックスサーバーColorfulBoxロリポップ! を、今回は mixhost が一足飛びに追い抜きました。mixhost はこれまで、LiteSpeed Cache を使用しても逆に遅くなったり、ブレが大きかったりと、それほどいい成績ではなかったのですが、今回は安定したよい結果が見られました。

ConoHa WING も、かつてはトップを争っていたのですが、今回も上位が熾烈すぎて食い込むことができませんでしたが、それでも十分高い性能を見せていると思います。

まとめ

これまで3年連続でトップであった エックスサーバー がトップを保持できませんでしたが、今回は非常に熾烈な戦いだったので、上位4社はほぼ同列一位とみていいレベルだと思います。

日ごとにサーバー高速化競争が増している現在ですが、エンジニアさんたちの苦労がしのばれる結果となりました。(本当にお疲れ様です・・・)

今回の結果は誰でも再現できるような形で実施していますが、同じツールを使用したとしても、収容されているサーバー固有の問題もあると思いますし、ユーザーが利用する WordPress のプラグインやテーマ、広告の量などによっても結果は変わってくる可能性はあります。

ただ、第三者の視点で客観的に調査したデータとして、より高速なサーバーを選ぶ際の参考になれば幸いです。

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