WordPress をはじめとする多くの CMS でも利用されているプログラム言語の PHP は、サーバーで利用されている数々の言語の中でも、最も利用されているものです。
レンタルサーバーによって利用できる PHP のバージョンは異なり、また複数の PHP のバージョンを切り替えできるサーバーとできないサーバーがあります。また、PHP のバージョンの切り替えも簡単にできるサーバーと、ある程度の手間が必要なサーバーがあります。
ここでは、当サイトで紹介している各レンタルサーバーで利用可能な PHP のバージョンと、その切り替え方法などの詳細をまとめてみました。(2016年4月時点の情報)
PHP のバージョンとは?
PHP をはじめとするプログラム言語は、処理効率アップや脆弱性を補うなどの理由から、随時そのバージョンをアップしています。
ただ、そのバージョンアップの影響で、言語のバージョンが変わるとプログラムの一部動作しなくなったりすることもあります。そのため、特に自作 CGI などを利用する場合は、レンタルサーバーで利用できる言語のバージョンを把握しておくことはとても重要です。
多くの共用レンタルサーバーでは、現在推奨されている言語のバージョンを利用するように設定され、固定されています。セキュリティ上の理由からも、サーバーの提供元としてはそのほうが安心でしょう。
しかし、中には新しいバージョンに対応していない古いプログラムを使いたいという理由などから、古いバージョンの言語を使いたい人もいます。
また、逆に最新のバージョン、現在では PHP 7 ですが、を使用してみたいという人もいると思います。PHP 7 は大幅にパフォーマンスが向上しているため、サイトの表示速度などを向上させるために利用してみたいと考える人も少なからずいるでしょう。
そういった人達にとっては、利用できるバージョンが強制的に固定されるよりも、自分で好きなバージョンを選択できるほうがありがたいですね。
利用可能な PHP のバージョン
では、現在各レンタルサーバーで利用可能な PHP のバージョンを見てみましょう。
一番左が初期状態で設定されている PHP のバージョンです。右に並んでいるのが、切り替え可能な場合に利用できる PHP の他のバージョンです。
初期ver. | 利用可能なバージョン | |||||||
エックスサーバー | 5.5.30 | 7.0.3 | 5.6.18 | 5.4.45 | 5.3.3 | 5.2.17 | 5.1.6 | 4.3.9 |
カゴヤ | 5.5.29 | – | – | – | – | – | – | – |
WebARENA | 5.3.3 | – | – | – | – | – | – | – |
さくらインターネット | 5.6.18 | 5.4.45 | 5.3.29 | 5.2.17 | 4.4.9 | – | – | |
WADAX | 5.6.28 | 5.3.3 | 7.0.13 | – | – | – | – | – |
heteml | 5.4.27 | 7.0.1 | 5.6.18 | – | – | – | – | |
ABLENET | 5.6.17 | – | – | – | – | – | – | – |
お名前.com | 5.6.14 | 7.0.3 | 5.5.3 | – | – | – | – | – |
ロリポップ | 5.5.25 | 5.6.13 | – | – | – | – | – | |
SpeeVer | 5.3.3 | – | – | – | – | – | – | – |
iCLUSTA+ | 5.5.30 | 5.6.x | – | – | – | – | – | – |
Bizメール&エコノミー | 5.5.28 | 5.4.44 | 5.3.3 | – | – | – | – | – |
クローバー | 5.6.18 | 7.0.3 | 5.5.30 | 5.4.45 | 5.3.3 | 5.1.6 | – | – |
※ 2016/6/30 新規提供終了
エックスサーバー系列のエックスサーバーと、クローバーが利用できるバージョンが多いです。エックスサーバーはかなり古いバージョン(4.3.9)もまだ利用できますね。(それがいいことかどうかは別として)
また、さくらインターネットも、幅広いバージョンを利用できるようになっています。
複数バージョンの利用可否と切り替え方法
次に、複数バージョンの利用可否と切り替え方法を見てみましょう。
基本的に上の表で複数のバージョンが書いてあるものは、切り替え可能なサーバーです。複数バージョンが利用できるレンタルサーバーであっても、バージョンの切り替え方法と切り替えたバージョンの適用される範囲が異なります。
適用範囲が「一括」と書かれているところは、「PHP のバージョンを切り替えると、そのサーバーでは設定したバージョン以外は使えない」、という意味です。
複数ver.の利用可否 | 設定方法 | 適用範囲 | |
エックスサーバー | ○ | コントロールパネル | ドメイン毎 |
カゴヤ | × | – | – |
WebARENA | × | – | – |
さくらインターネット | ○ | コントロールパネル | 一括 |
WADAX | ○※ | – | – |
heteml | ○ | 手動(.htaccess) | ディレクトリ毎 |
ABLENET | × | – | – |
お名前.com | ○ | コントロールパネル | ドメイン毎 |
ロリポップ | ○ | コントロールパネル | ドメイン毎 ※ |
SpeeVer | × | – | – |
iCLUSTA+ | △ | – | △ |
Bizメール&エコノミー | ○ | コントロールパネル | 一括 |
クローバー | ○ | コントロールパネル | ドメイン毎 |
※ 2016/9/9 修正
iCusta で複数バージョン利用可否が「△」になっているのは、2016年現在、共用サーバー全体を対象として PHP のバージョンを 5.6 に移行している関係で、一時的に 5.5 と 5.6 の両方を使い分けることができる状態になっているためです(ファイルの拡張子を一部変更することにより、利用する PHP のバージョンを変更可)。ただ、基本的には、バージョンを変更できない他のレンタルサーバーと同様に切り替えはできず、固定されています。
heteml に関しては、「.htaccess」という設定ファイルに、利用する PHP のバージョンを読み込むための記述をして、そのファイルを設定を適用したいディレクトリ内に FTP などで設置する必要があります。若干手間がかかりますが、慣れれば特に難しい作業ではありませんし、より柔軟な運用ができるというメリットもあります。
レンタルサーバー各社で利用可能な PHP のバージョン比較まとめ
PHP のバージョンの切り替えは、特に必要としなければ気にする必要がないものですが、新しいバージョンを試してみたかったり、古いプログラムを使いたい人にはとても重宝するものです。
切り替えの方法については、より簡単で柔軟性が高いほうが使い勝手がいいですね。コントロールパネルなどの設定画面で簡単に切り替えられ、さらに自分が適用したい場所にだけ適用できるのが理想です。
以上の点で、柔軟性が高いのはエックスサーバー・お名前.com・クローバーの 3つです。
ロリポップやさくらインターネットも PHP バージョンの切り替えは簡単ですが、プログラムごとに使い分けることができないので、そこは少し残念です。逆に少々手間がかかりますが、heteml はかなり柔軟な運用が可能と言えますね。