レンタルサーバーの非公開領域とストレージとしての利用比較

レンタルサーバーの非公開領域とストレージとしての利用比較

レンタルサーバーをオンラインストレージ(ファイルサーバー)として利用する場合、保存したいファイルは公開する予定のないファイルであることがほとんどだと思います。そのため、ファイルは外部から覗かれる心配のない、「非公開領域」に保存することが重要になります。

ただ、多くの共用サーバーの場合、Webサイトの公開をメインの目的として提供しているため、ユーザーには公開領域しか用意されていないレンタルサーバーもあります。

そこで今回は、非公開領域の有無とサーバーの領域をオンラインストレージ(ファイルの保管場所)として利用することに対する可否について直接各社に確認してみましたので、その情報をまとめてみたいと思います。

レンタルサーバーをオンラインストレージとして利用する際に考慮すべき内容とおすすめのレンタルサーバーについては、以下の記事をあわせて参照してください。

 ・オンラインストレージ向けレンタルサーバーの選び方とおすすめサーバー
 ・レンタルサーバーのオンラインストレージ用機能と比較

非公開領域の有無

まず、「非公開領域」の有無についてみてみましょう。

「非公開領域」を簡単に説明すると、利用しているユーザー以外がインターネット経由でアクセスすることができない領域のことです。

この領域は、ユーザー自身がアクセス制限等を行うことで作成することも可能ですが、公開する予定のないプライベートなファイルを保管するのであれば、レンタルサーバー側であらかじめ保護するように設定されている非公開領域があったほうがベターです。

非公開領域についての詳しい説明については、オンラインストレージ向けレンタルサーバーの選び方とおすすめサーバーも参照してください。

レンタルサーバーにおける「非公開領域」有無の一覧

サーバー名 非公開領域の有無 非公開ディレクトリ
エックスサーバー 「ドメイン名/public_html」以外のディレクトリ
カゴヤ 「/public_html」以外のディレクトリ
WebARENA 「data」ディレクトリ
さくらインターネット 「www」以外のディレクトリ
WADAX 「public_html」以外のディレクトリ
heteml 「web」以外のディレクトリ
ABLENET ×
お名前.com 「files」ディレクトリ
ロリポップ ×
SpeeVer ×
iCLUSTA+ ×
Bizメール&エコノミー 「www」以外のディレクトリ
クローバー 「public_html」以外のディレクトリ

まず、各社の仕様を大きく分けると主に 2つのパターンがあることがわかります。

1.ユーザーが公開領域にしかアクセスできないケース(非公開領域なし)
2.ユーザーが公開領域以外のディレクトリにもアクセスできるケース(非公開領域の中に公開領域が存在する)

ここで少しだけ、このディレクトリ構造について説明してみます。(特に興味がなければ、飛ばしてもらっても問題ありません)

「非公開領域なし」の主なディレクトリ構造例

ユーザーのホームディレクトリ(FTP でアクセスできる最上位ディレクトリ)
┃  =公開ディレクトリ(www や public_html などの名前)
 ┣━wordpress
 ┣━html
 ┗━files
     ┗secret.pdf

公開領域にしかアクセスできないケースの場合、FTP でファイルをアップロードすると、ディレクトリとファイル名さえわかればそのファイルにアクセスができる状態にあることを意味します。

上のような例で、「hoge.com」というドメイン名で契約しているレンタルサーバーの「files」ディレクトリの中に、「secret.pdf」というファイルを置くと、「http://hoge.com/files/secret.pdf」とブラウザに打ち込むととで、そのファイルを表示できてしまいます。

そのため「非公開領域なし」の場合、ディレクトリやファイルにアクセスする際に認証をかけたり、ディレクトリのパーミッションを変更することでアクセスできないようにする必要が出てきます。

「非公開領域あり」の主なディレクトリ構造例

一方、公開領域以外のディレクトリにもアクセスできる権限がある場合、基本的な構造としては、以下のような形になっています。(サーバーによって細かい構成は異なります)

ユーザーのホームディレクトリ(FTP でアクセスできる最上位ディレクトリ)

┣━公開ディレクトリ(www や public_html などの名前)
┃  ┣━wordpress
┃  ┗━html

┣━ディレクトリA(ログファイル用ディレクトリなど)


┗━ディレクトリD

この場合、「公開ディレクトリ」配下のファイル以外は、基本的に第三者はアクセスができません。そのため、ディレクトリA~D などのディレクトリにファイルをおいても、外から見られる心配はなくなります。

このように、レンタルサーバー側であらかじめ外部からアクセスできない領域を用意しているサーバーと公開領域のみしか使えないサーバーがあるわけです。

一覧表の中で「なし」と書かれているものが上の「1.」にあたり、「非公開領域」が「○」になっているものが「2.」に当たります。

中でも、「非公開領域」が「○」になっているものの中で「●●ディレクトリ」と指定があるもの(WebARENA・お名前.comレンタルサーバー)については、ファイルを保存する目的のためにあらかじめディレクトリが作られているサーバーです。

また、さくらインターネットにも「さくらポケット」という専用アプリからアクセスできるファイル保存用のディレクトリがあります。(さくらポケットの詳細は、「さくらポケット」 v.s. 「WADAX App」スマホアプリ比較を参照してください」

なお、レンタルサーバー会社は直接言及してはいませんでしたが、基本的には公開ディレクトリ以外であれば公開されませんので、ファイル保存用の専用ディレクトリがないレンタルサーバーであっても、非公開領域であればファイルを置いても問題はないと思います。

オンラインストレージ(ファイルサーバー)としての利用可否

次に、レンタルサーバーの「オンラインストレージ」としての利用可否についてです。

昔はディスク領域も現在のように大きくなかったため、レンタルサーバーのディスクをファイル保存場所として使用することを禁じていたところも多くありました。また、基本的なサーバーの使用用途として、ファイルの保存場所としては提供はしていないところが多いと思われるため、規約に抵触しないかなども一応確認してみることにしました。

各社には、「ディスクの領域をストレージとして利用することが可能か・規約などに抵触しないか」という形で質問しています。

ストレージとしての利用可否一覧

サーバー名 利用可否 サポートからのコメント
エックスサーバー ファイルを保管する用途のみの利用には不向き
カゴヤ 禁止してはいない ファイルを保管する用途のみの利用には不向き
WebARENA (ファイル保存用ディレクトリあり)
さくらインターネット (ファイル保存用ディレクトリあり)
WADAX ファイルを保管する用途のみの利用には不向き
heteml FTPアカウントを複数作成して共有も可能
ABLENET 想定していない用途のためパフォーマンスは上がらないと思われる
お名前.com (ファイル保存用ディレクトリあり)
ロリポップ 公開領域しかないため、要アクセス制限
SpeeVer 規約上の制約はないが、非公開領域がないため非推奨
iCLUSTA+ ファイルサーバーとして設計されていないため、ストレージとして利用するのに適した機能がない 利用上負荷が大きくなった場合には制限する可能性あり
Bizメール&エコノミー 「共有ファイル」機能で他のユーザーとファイルの共有も可能
クローバー アカウントの第三者への貸与はNGのため、契約者本人のみ利用可

以上、見てわかるように、基本的にすべてのサーバーでストレージとして利用することについては特に規約上の制限はなく、可能であるとの回答をもらいました。

ただ、やはり一般的な共用サーバーは Webサイトの公開を目的として提供しているものであり、ストレージ用としては最適化されていないため不向きである、などのコメントをもらうことも多かったです。

確かに、ファイルサーバーとして利用するためには、ハードや OS などもファイルサーバー用のものを使用したり、様々なチューニングをしたほうがより使いやすいものになるはずです。また、レンタルサーバー会社側としても、保存できる容量があるからと言って大量にファイルを送受信されるとサーバーへの負荷が高まりますので、あまり勧めたくないというところはあると思います。

非公開領域とストレージとしての利用比較まとめ

以上、レンタルサーバーの「非公開領域の有無」「ストレージとしての利用可否」についてまとめてみました。

一昔前はファイルストレージとしての利用は禁止されていることが多かったイメージがあったのですが、現在は規約などで禁止されているようなことはないようですね。

ただ、もし大量のファイルを保存したい場合は、一応ご自身で各レンタルサーバー会社に確認しておくことをおすすめします。

また、ファイル保存のために FTP などで大容量のファイルを送受信するとサーバーに大きな負荷がかかり、他のユーザーに影響を与えることになったり、運営会社側から何らかの制限を受ける可能性もありますので、ある程度の容量に分けてアップロードするなど慎重に使用されるほうがいいでしょう。

なお、実際にストレージとして利用するにあたっては、サーバーをオンラインストレージとして利用しやすくする WebDAV(ウェブダブ)機能やスマホアプリなどの有無も考慮したいところです。

ストレージとして利用するのにおすすめのレンタルサーバーについては、以下の記事もご覧ください。

 ・オンラインストレージ向けレンタルサーバーの選び方とおすすめサーバー
 ・レンタルサーバーのオンラインストレージ用機能と比較

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