ネットオウル株式会社の「スターサーバー」が、新規リリース、CPUコア数増加に続き、サーバーのすべての記憶媒体を、従来の HDD から SSD に変更する「オールSSD化」を実現しました。
SSD(ソリッド・ステート・ドライブ) は、HDD(ハード・ディスク・ドライブ)よりもデータの読み書きの速度が速いため、より高速な処理が可能で、かつ物理的な故障が少ないのも大きなメリットです。
今回は、スターサーバーのオールSSD化前後における、パフォーマンス測定の結果を交えて、その詳細について見ていきたいと思います。
・スターサーバーが仮想CPUコア数を増強!はたしてパフォーマンスは向上したか?
レンタルサーバーのオールSSD化によるメリット
レンタルサーバーは、Webサイトの公開とメールの利用が主たる用途ですが、メールの安定運用を重視する法人向けの一部サーバーを除き、ほとんどの共用サーバーでは、Webの領域とメールの領域は物理的に同じサーバーで運用されています。
一方、同じ Webサイト関連のデータを格納する領域でも、Webサイト本体のデータと WordPress を代表とする CMS(コンテンツマネジメントシステム)などで使用されるデータベースの情報は、物理的に別のサーバーに格納、処理されていることが多いです。
近年はより高速な処理を必要とする、データベースサーバーには従来の HDD と比較して、読み書きを高速に行える SSD が使用されることが多くなっています。これは、ディスク内の近い領域にデータが格納されている Webサイトのデータと比べて、データベースがより多くのデータを分散して格納しており、効率的に読み書きを行うために、より高速な処理を必要とするからです。
データベースの SSD化によって、Webサイトの表示速度は向上しますが、さらに Webサイトの格納領域も SSD化 することにより、さらなる Webサイトの表示速度を向上させることができます。
これが、ここ1~2年の間に急速に進められている「オールSSD化」の意味するところで、実際に当サイトによる過去の検証結果でも、レンタルサーバーのオールSSD化によってパフォーマンスが向上することが確認できています。
・エックスサーバーがオールSSD化でさらに速度向上!表示速度と安定性の比較でその実力を検証
・ロリポップ!エンタープライズプランのSSD化が進行中!そのパフォーマンスを検証比較
オールSSD化でパフォーマンスはどう変化したか?
では、今回スターサーバーのオールSSD化により、実際のパフォーマンスはどのくらい向上したのでしょうか。
当サイトでは、紹介しているレンタルサーバーに大きな仕様変更があった場合は、毎回各種ツールを使用して、実際のパフォーマンスを再検証しています。スターサーバーに関しても、つい先日CPUコア数が増えた際に検証を行ったばかりでしたが、今回改めて安定性や表示速度をチェックしました。
しかし、検証の結果、以下のように安定性、サイトの表示速度ともに、ほとんど変化はみられませんでした。(そのため、平均応答速度とPHP5.6 での WordPress の計測結果のみ掲載)
Webサーバーの平均応答速度
リリース時 | コア数UP後 | オールSSD化後 | |
エコノミー | 36 | 34 | 32 |
ライト | 242 | 163 | 155 |
スタンダード | 242 | 159 | 152 |
プレミアム | 381 | 160 | 157 |
ビジネス | 257 | 157 | 154 |
PHPバージョンごとの WordPress サイト平均表示速度
PHP5.6 | リリース時 | コア数UP後 | オールSSD化後 |
エコノミー | 2.4 | 1.5 | 1.8 |
ライト | 4.0 | 1.6 | 1.6 |
スタンダード | 4.4 | 1.7 | 1.5 |
プレミアム | 3.8 | 1.5 | 1.6 |
ビジネス | 3.9 | 1.7 | 1.9 |
平均 | 3.7 | 1.6 | 1.7 |
※エコノミーはWordPressが使用できないため HTMLサイトでの結果
見てわかるように、リリース当初とそれ以降では大きく変化が見られますが、CPUコア数増加後とオールSSD化後ではほぼ変わりがありません。
そのため、不思議に思ってスターサーバーのサポートに確認したところ、実は9月19日のオールSSD化の発表に先行して、新規のサーバーはすでにオールSSD環境で提供されていたことが判明しました。
CPUコア数増加の発表をした時点で新規提供されていたサーバーは、すでにオールSSD化されていたため、前回も今回も「CPU のコア数増加+オールSSD環境」での検証結果だったというオチでした。
スターサーバーのオールSSD化 まとめ
以上、スターサーバーのオールSSD化について、その概要と検証データなどを見てみました。
結局今回は、CPUコア数増加のみの環境とオールSSD環境との差分の検証は行うことができなかったため、純粋にオールSSD環境に変わったことによるパフォーマンスの向上度を確認することはできませんでした。
しかし、この「CPUコア数増加+オールSSD環境」の二つの相乗効果によって、サーバーの安定性と処理速度は格段にアップし、スターサーバーのパフォーマンスはトップレベルになりました。特にライトやスタンダードなどの低価格帯のプランは、他社に比べて安定性が高いため、コストパフォーマンスは非常に高いので、ロリポップ!やさくらのレンタルサーバよりオススメです。